530-0041 大阪市北区天神橋2丁目5-28
千代田第二ビル 4階C号室
Tel 06-4801-9956
Fax 06-4801-9957
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自分には今までのキャリアの中で、勝手に師と仰いでいる方々が幸運なことにたくさんいます。
光の奥深さを教えてくれたボスと先輩方、どんな建物でも設計できる思考の基礎を根気強く教えてくれた上司、現場で叱ってくれた職人さん達や、生意気な若造だった自分にまっすぐ向き合ってくれた社長。これらの方々に教えてもらったことで今設計ができていると、そんなこと当時は全く思いもせず後になって気づきます。
前職は工務店の設計部にいましたが、自分の席の真後ろにこの工務店で現役を全うされた後、施工図や見積の業務を手伝ったり教えたりしてくださる大ベテランがおられました。いつもニコニコと本当に楽しそうにおさまりの文句を言いながら、ドラフターに向かっては美しい図面を描き、見積業務をされていました。昔はめちゃくちゃ厳しかった、という話を各先輩方には聞きましたが自分は知りません。
自分が図面を描いているとき、不意に後ろから「またマンガ(必要な情報が不足している役に立たない図面)描いてんのか?」と軽く揶揄されたり、「どないして造るねん?(これでは現場で施工できない)」とか、ニコニコと指摘をもらったり、逆に後ろの席に座り込んで教えてもらったりする時間が大変好きでした。
そのうち描いてる図面を見て「ええ図面や」とか、設計図をパラパラっと見て「ええ家やな」と言ってくださるようになり、その心強さは今でも覚えています。ちゃんと見てくれている心強さ。当時30歳と73歳?。いつもニコニコと本当に楽しそうにおさまりの文句を言いながら試行錯誤して建築するその姿を見て、一生楽しめる仕事を選んだと確信しました。
元在席されて独立された先輩方のお名前をあげられ「アイツも、アイツもみんな頑張っとる。山形くんもできるよ」と。もちろん自身で独立することを決めてはいましたが、ちゃんと心強いのです。
最近は朝活をしていて、この月曜は18時半ぐらいにエネルギーが切れて、もう帰ろ、と家に連絡してから、たまたま前職のHPを見てその方がお亡くなりになったということを不意に知りました。パソコンの前で一人で声出して驚いているその時に、前職で同じ時期に独立した監督から全く別件で着信。二人でこの偶然にも驚き、その日にお通夜があることを知るに至り急いで向かいました。
眼鏡を外されたお顔は初めて見たかも、遺影はニコニコされておられました。
今目の前にあるこの計画は「ええ図面や」「ええ家やな」と言ってもらえるか?自問自答していきますので、どうぞ安らかにお眠りください。