日 誌

小さくて楽しい部屋の計画 設計~完了まで

これは昨年(2019年)末の5日間で行った、自宅の寝室を間仕切って「子どもの部屋」を作る工事の設計から完了までの記録ですが、どちらかというとダラダラとした私的な日誌になってしまいました。

「小学1年生になったら部屋と机をつくる」と息子と約束をして、本来入学時にそろえておきたい学習机も延ばし延ばしにしてもらい、秋ぐらいからようやく本格的に腰を上げました。

2012年に「息子が生まれるまでに!」と急いでリフォームした家なので、息子と家は同い年です。自宅を含め、近辺は見渡す限りの集合住宅エリアで、小学校のクラスでも一軒家に住んでいる子はほとんどいないようです。

自身も団地+マンション育ちで、一軒家への漠然とした憧れはありました。

大学で住居を学んだにも関わらず、一戸建ての家に住んだことが無かったので、就職も決まってないのに、卒業してすぐ友人と京都のボロ町屋を借りて、2階の床を抜いて「吹き抜け」といって住んでいたのも、一軒家憧れのなせる業です。半屋外のような町屋で暮らして(銭湯生活)、お金が無くなって(働いてないので当たり前)、それでハローワークに行ってたまたま見つけたのが照明の会社で、これが今に至るキッカケをくれた仕事となったわけです…。(こんなこと思い出してたらキリがない。)

だから、という訳でもないのですが「ここに2階と階段もつくる」と息子に宣言をして、これを楽しみに気長に待ってくれていました。

[計画の主旨]
・フツウより狭い分、楽しい部屋にする
・フツウよりオープンな家なので、隠れ部屋みたいな収納をつくっておく
・飽きないように、子ども部屋っぽ過ぎずに
中学や高校になって、いずれ遊びに来てくれる友達が「なんかいいね」と少しでも思ってくれれば、もうそれだけで十分。

8年前に自分で描いた図面を拡大して、上から夫婦で話し合いながらスケッチしていきます。将来間仕切壁の位置に、当時仕込んでもらった下地や配線があります。
しっかり図面化して、寸法を確認。

工期を短縮する為に施工者と打ち合わせして、あらかじめパーツを切り出して先に工場で作ってもらい、現場で組み立てていく方法で計画することとしました。
構造用合板をベースに使用してコストを抑えつつ、グレーのパネルで囲んで、LDK側からは合板が見えないようにしています。均等に割ったパネルの1枚が扉。しっかり階段を作って、ちょっとした本棚にもなるようにしてます。

収納の中に昼間の光が入るように、壁に穴をあけました。机で勉強する時は、奥まった位置で集中できるように。

ベッドサイドは、補強と手摺を兼ねた細いカウンターを作っています。すぐにスマホの充電も必要になるはず。コンセントも回しておきます。

工事前日。今までお世話になった広々とした寝室。川の字で寝てたので、少し寂しくなりますが、寝返りで蹴られることもなくなる。

工場で切り出されたパーツを確認しに行きます。扉の丁番はこだわりポイントです。


工事初日、部材が次々と運び込まれます。階段もそのままの形で。

間仕切り壁は、上から下までしっかりと造ってもらいました。

2日目に構造用合板、パネルの設置を行いました。この日はインフルエンザによる学級閉鎖で思ってたより早く息子が帰宅。どうやって作っていくのか、どれほど重たくて難しい作業を大工さん、職人さん達がしてくれているのか、一緒に少し手伝ったり、見せてもらえたりして良かった。夢中で見て手伝って、写真を撮るのをすっかり忘れてました。

3~4日目は、塗装です。元々はクロスでしたが、そのクロスの上から塗装をするという選択を実験的にしてみました。

レールの左がもともとのまま。右がクロスの上から塗装。

元々寝室に置いていた荷物を、全部向こう側に移動させているのが見えます。こんな短期間でも住みながらの工事はなかなか大変です。だんだんできていく楽しみの分、ガマンも必要になります。


最終日は、養生を上げて、収納の中にハンガーパイプを付けてもらって完成です。

階段踏板の1枚は、外せるようにしてます。


机も構造用合板で造っていますが、このままでは字が書きにくいので、透明のデスクマットを載せて完成です。

ついでの工事として、キッチン収納扉をオープン棚に変更しました。コンロの下の、両開き扉収納に鍋やフライパン等の調理器具をいれていましたが、ここはいっそオープン棚にして「サッと取り出せる」方が使いやすいはず。

塗装してもらい、棚を付けて完成。ずいぶん使いやすくなりました。こういうアレンジができるのも、造作キッチンのいいところです。

もうひとつついでに。玄関土間から室内に上がる段差が、約30cmと高く設定していて、この踏み台も作りました。縞鋼板(チェッカープレート)を曲げるだけの簡単な踏み台です。

高さがちょうど段差の1/2で、タイル割りにサイズを合わせているところがポイント。

ということで、完成写真は設計事例をご覧ください。

家にいる時間が長くなるほど、家に好きな居場所がたくさんあるのは良いもんだと切に思います。